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The Style Council全曲解説 [Kindle版]

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是非読んでみて下さい。

凡例

(ヴァージョン名)←公式のものが存在しない場合便宜的に付けた場合もある
Hon Councilers ←参加メンバー。特筆されない場合ドラムはSteve White、バッキング・ヴォーカルはDee C. Lee。(時期によってはHon CouncilerとしてWhiteやLeeも記載する)
主な収録作品←シングル、オリジナルアルバムと公式度の高い編集盤を優先して記載。
解説←独自の独断と偏見に満ちた解説。

2014年11月24日月曜日

Nzuri Beat

(Live Version)
Hon Councilers
Camelle Hinds : bass
Steve Sidelnyc : percussions

  ホワイティとゲイリー・ウォリスのユニット、M.E.F.F.の曲で、85年ツアーでしばしば演奏された。ホワイティ、カーメルとスティーヴ・シデルニクの3人で演奏されるインスト曲。3人のソロをフィーチャーしている。ウォリスが(シデルニクの代わりに?)参加してプレイされたこともあったようだ。

See the Day

(Live Version)
Hon Councilers
Helen Turner : keybords
Camelle Hinds : bass
Steve Sidelnyc : percussions

  85年ツアーでのディーのソロ曲として定番だった曲。The Paris Matchに代わって彼女のソロコーナーを担うようになった。この時期必ずと言っていいくらい演奏されていたのに、TSCのヴァージョンが公式リリースされていないのが不思議。

 ワルツのリズムで重厚に演奏されるソウルバラード。アルバムShrineのリードシングルとしてリリースされた、彼女の代表曲と言っても間違いないだろう。TSCのヴァージョンとしては間奏のミックのピアノとカーメルのスラップベースの絡みが印象的。コーラスはヘレンの声が目立つような気がするが?

 余談だが、この曲(スタジオヴァージョン)の12インチシングルにはディーとポール、ミック、ホワイティによるThe Paris Matchの再録(カヴァー)と、TSCのライヴからLuckが収録され、TSCのファンは必須のアイテムとなっている。

2014年11月23日日曜日

Times are Tight

(Live Version)

 83年のライヴ音源が残っているジミー・ヤングのカヴァー。原曲リリースの年に早速カヴァー。オリジナルはディスコ調のグルーヴだが、TSCはテンポを上げて後のInternationalistsに近いノリを持った前のめりのファンクに仕上げている。

 参加メンバーは不明だが、おそらく83〜4年のレギュラーが顔を揃えていると思われる。

2014年11月22日土曜日

I Can't Deny Myself

(Live Version)

 89年横浜アリーナで演奏された曲で、なんとカーメルがリードヴォーカルを担当する。ブラコンっぽい感じをシカゴハウスに寄せたようなサウンドのなかなかの佳曲。この曲ももう少し詰めて完成させて欲しかったと思える。

 それにしても、Sure is Sureを共作したり、最終ラインナップのTSC(90年夜のヒットスタジオ出演時)にも顔を見せたりと、カーメルに対するポールの信頼はこの時期結構大きかったのかも知れない。

Depth Change

(Live Version)

 89年ロイヤル・アルバート・ホール公演で演奏。所有音源の音質が悪くてなにをやってるのか解りづらいのだけど、ディーが歌うファンクナンバー。ドラムが非常に打ち込みっぽいが他のハウス系の曲とは明らかにノリが違う。

 この曲もディーのSlam Slamプロジェクトで復活。テンポがかなり落ちたせいかファンクっぽさは後退し、ハウスとしての色合いが強く出たアレンジでレコーディングされた。

Now You've Gone

(Live Version)

 89年のライヴで演奏されたカーティス・メイフィールドのカヴァー。ゲスト扱いでDr.ロバートが女性シンガー(ディーではない、もっとソウルフルな)をバックにヴォーカルをとっている。

 都会的なブルーズと言った感じの曲調で、オリジナルよりはだいぶロック寄りに振ってはいるがミックのオルガンが久々にソウルフル。だがTSCとしての存在感は非常に薄い。残念ながらDr.ロバートのソロとしても発表されていないようだ。

※情報提供:Mikio Nakamuras氏

Fine

(Live Version)

 89年、ロイヤル・アルバート・ホール公演のブートレッグに収録されていて、タイトル不明とされているが、ツアーにシンガーとして同行していたオマーのソロによるアカペラ・パフォーマンス。これを「スタイル・カウンシル」と呼ぶのかはかなり疑問だが……

※情報提供:Mikio Nakamuras氏

Tender Love

(Live Version)

 89年、ロイヤル・アルバート・ホール及び横浜アリーナで演奏された未発表曲。ディーが歌うバラードで、少しCost of Loving期の雰囲気がある。カーメルの弾く色気のあるベースラインが印象的。

 この曲もSlam Slamで採り上げられ陽の目を見た。89年ヴァージョンに比べ平坦になってしまった印象があるのはベースのフレーズのせいか。

You'll Find Love

(Live Version)

 89年、ロイヤル・アルバート・ホールで演奏された未発表曲。Move同様ディーが歌うハウスナンバーだが、ホーンのフレーズなどを聴いているとアレンジ次第では初期TSC的な色も出たかも知れない、とも思える雰囲気がある。もう少し詰めたら面白かったかな、と感じるが、残念ながらTSCにはもう時間がなかった。

 結局TSCでは録音されなかったが、代わりにSlam Slamで採り上げられた。少し落ち着いた感じに整理され、ハウス風味のブラック・コンテンポラリーと言った雰囲気に仕上がっている。

※情報提供:Mikio Nakamuras氏

Move (Dance All Night)

(Live Version)

 89年、ロイヤル・アルバート・ホールで演奏された未発表曲。Modernism : New Decade収録曲と同傾向のハウス。ディーがヴォーカルをとっている。

 91年になってディーのソロ・プロジェクトSlam Slamのアルバム用に録音され多ヴァージョンは89年のライヴより若干テンポが落とされている。

※情報提供:Mikio Nakamuras氏

Just My Type

(Studio Version)

 ポールの楽曲を他のアーティストに提供するためのデモと言われる録音の一つ。公式録音としてはディーのソロアルバムShrineに収録。このヴァージョンでは男性シンガー(Boy Who Cried Wolf同様のノエル・マッキャラか?)とディーがデュエットする。バックトラックは同一のものと思われる。86年の曲だが打ち込みが多用され、87年か89年の曲のように聞こえる。

 ポールが歌うヴァージョンはブートレッグでも聴くことが出来ないようだ。

I am Leaving

(Studio Version)
収録作品
 CD "Here's Some That Got Away"

 Here's Some That Got Awayで初登場した、ディーが歌うナンバー。国内盤のライナーにはCost of Lovingのアウトテイクとあるが、88年録音だし、打ち込みのドラムから判断しても同アルバム用の楽曲とは考え辛い。デモ録音のようにも聞こえる。

 サウンドはむしろConfessions~よりModernism~に近い打ち込みソウルで、アシッドジャズ方面の影響も感じさせるものだ。意外にLike A Gunか、思い切ってWaiting on a Connectionのカップリングにでもしてリリースしたら似合ったかも知れない。録音時期やサウンドから判断してもぴったりじゃないだろうか。

Waiting on a Connection

(Studio Version)
収録作品
 CD "Here's Some That Got Away"

 Confessions of a Pop Groupのアウトテイクで、88年の録音。ファンキーだがメロディが比較的あるし、少なくともIwasdoledadstoyboyよりは良い曲だと思う。入れ替えた方が良かったと思えるくらいだ。おそらくHere's Some That Got Awayで初登場した曲の中では一番強力だと思われる。

 ドラマーはホワイティではなく、誰が叩いているのかは不明(打ち込み?)、ベースはライヴヴァージョンと比較してもカーメルの可能性がある。

 もし当時Modernism : A New Decadeがリリースされていたらシングルのカップリングなどで登場することもあったかも知れない。

(Live Version)

 89年のツアーでは新曲として紹介され、RAH、横浜ともにプレイされている。ライヴでは若干テンポアップされ、よりソウルフルな感覚が強調。力強い演奏になっている。

My Very Good Friend

(Studio Version)
収録作品
 CD "Here's Some That Got Away"

 シングルHave You Ever Had It Blueのセッションでのアウトテイクと言われる曲でポールのオリジナル。

 シングルのコンセプトとしてジャズ的な部分が浮上した段階でカットが決まった可能性もあるが、楽曲の質としても例によってB面っぽさ満開で、アレンジ、メロディともに詰めの甘さが残る。そのあたりも未発表に終わったゆえんかも知れない。非常にポップで耳あたりの良い曲ではあるのだけど。Here's Some That Got Awayで初登場。

 基本的に硬質な音色のシンセベースが使われているのだが、イントロや間奏の一部にスラップベースが登場するのが面白い。カーメルの演奏だろうか?他はディー、ホワイティを含むTSCでの演奏と思われる(パーカッションはシデルニックかも)。ミックがシンセ中心のプレイに移行し始めていて、85年の曲を87年のサウンドで演奏しているような感じにも聴こえる。

Ain't Going Under

(Studio Version)
収録作品
 CD "Here's Some That Got Away"

86年にシングルA面用に作られたと言うが、未発表に終わった曲。正直、シングルとしてのリリースに耐えうる曲には聴こえない。サウンドからしてもこれはデモヴァージョンなんではないだろうか。ミックスも甘いし、イントロの半端っぽさ、打ち込み風にも聞こえる(またはホワイティではない誰かのプレイ?)ドラムなど、本格的なレコーディングには聴こえない。Our Favourite Shopのデラックス・エディションに同アルバム用のデモが数曲収められたが、サウンドの感触が非常に近いのもこの演奏がデモであると思える根拠だ。

 ジャムのGoing Under Groundに対するセルフ・アンサーソングとして作られた曲で、そのせいかTSCには珍しいかなり歪んだ、ハードめのギターが聴かれる。ただしリズムもメロディも全くジャム的ではない。HomebreakersやIt Didn't Matterにも通じるダークな雰囲気のメロディは悪くないが、やはり詰め切れていないようにも感じる。

April's Fool

(Studio Version)
収録作品
 CD "Here's Some That Got Away"

 これもまたシングルHave You Ever Had It BlueのアウトテイクでHere's Some That Got Awayで登場した曲の一つ。ボサノヴァ風の曲で、ポールとミックの共作。

 ベースはカーメルのようには聴こえないからポール、ミック、ホワイティの3人だけでの録音と思われる。手癖で作ってさらりとプレイした感じだ。あまり心には残らないけど少し良い曲。いかにもTSCのB面らしい曲、と言ってもいい(良い意味で)。Walls Come Tumbling Downとカップリングされていても似合ったかも知れない。

 部分的にメロディが不明瞭に聴こえる部分があるのだけど、それが意図的なのかは不明。実際には完成度が低いように聴こえるのは事実で、なんとなくそのシンプルなサウンドと相まってでもデモ録音っぽくも聴こえてしまう。まあ、未発表曲らしい未発表曲と言えるだろう。

Night After Night

(Studio Version)
収録作品
 CD "Here's Some That Got Away"

 86年に録音されたデヴィッド・シーのカヴァーで、Here's Some That Got Awayのライナーには単に「未発表曲」としか表記されていないが、これももしかしたらHome and Abroadのボーナス用のレコーディングだったのかも知れない。TSCのヴァージョンはオリジナルとあまり変化は無いが、濃さが押さえられ、これもCost of Loving寸前という音色になっている。

 と言うか、この曲の最大のポイントは「It Didn't Matterの元ネタである」ということだ。TSCヴァージョンでもベースやギター、クラップなどをよく聴くと結構似ているのだけど、オリジナルを聴くと更に似ている。イントロからもうそっくりのシンセ音やベースラインがそこら中に出て来るのだ。勿論、メロディは全く違うから「パクり」と言うには語弊があるのだけど。

 ライヴではプレイされたことが無いと言うが、むしろスタジオでこの曲を試したところから生まれたのがIt Didn't Matterなのかもしれない。ネタばらしとしての収録と考えても面白い。

Love Pains

(Studio Version)
収録作品
 CD "Here's Some That Got Away"

 Here's Some That Got AwayのライナーノーツによるとHome and Abroadにはスタジオ録音の新曲をボーナストラックとして収録する予定があったらしい。アナログでは2曲をカットしたくらいなので収録時間的に難しいと思われ、信憑性には疑問があるのだが……

 何にしても、ライナーを信じるならその為に86年に新録されたカヴァー曲。原曲はウィリー・クレイトンで、オリジナルよりアップテンポに仕上がっている。

 R&B系のシンガーのカヴァーということもあり、次作に当たるCost of Lovingに近づきつつあるサウンドになっている。特にサウンドの中心がミックのシンセになっているあたりに強く感じる。

 Here's Some That Got Awayで発掘された曲のため詳細なメンバーは不明だが、ベースはポール、パーカッションもホワイティによるものじゃないかと思われる。また、ディーも参加していない様でヴォーカルパートはポールによる一人掛け合いとなっている。

 Here's~のライナーノーツによるとステージで数回プレイされたことがあるらしいが、録音は残っていないと思われる。

A Casual Affair

(Studio Version)
収録作品
 CD "Here's Some That Got Away"
 CD "Our Favourite Shop (Deluxe Edition)"

 85年に録音されたCome to Milton Keyenesのカップリング用の曲と言われるが未発表に終わっている。Here's Some That Got Awayで発掘され初登場、現在ではOur Favourite Shopのデラックス・エディションでも聴ける。ちなみにHere's Some~のオリジナル・ライナーノーツには「Come To~用の曲」という記載は無く、85年録音と書かれているだけ。実際にはOFSのアウトテイクかも知れない(勿論それをCome To~に収録するつもりだった、とは充分考えられるが)。

 なんとなくThe Piccadilly Trailにも近い雰囲気を持ったポップで爽やかな曲で、いかにもこの時期のB面曲という感じ。レコーディングはおそらく3人で行われていると思われる。

 余談だが、なぜかHere's Some~のジャケを見ながら聴くと「後期の弱めの曲」という感じにも聴こえるから不思議(そもそも傾向が似てるんだが)。

Harvest for the World

(Live Version)
Hon Councilers
Tracie : Vocals
Paul Barry : Bass & Vocals
John Robinson : Guitar
Frank Mooney : Drums
Joseph Jones : Keyboards

 83年のテレビ出演時にTSC(ミック&ポール)とトレイシー、クエスチョンズという「レスポンド・オールスターズ」とでも言うべき面々で演奏されたアイズレー・ブラザーズのカヴァー。トレイシーとポール・バリーが主にヴォーカルを取り、ウェラーは後半から歌う。

 演奏は先にレコーディングされており、それに合わせて当て振りしていて、画面ではウェラーがコンガを適当に叩いているが音は聞こえない。

 86年にウェラーがアイズレーのステージにゲスト参加してこの曲を歌う短い映像も残っている。

2014年11月20日木曜日

Everlasting Love

(Live Version)
Drums : Ian Mussington
Percussions : Steve Sidelnyk
Guitar : Simon Eyre
Bass : Dave Foster
Keyboards : Terry Devine King
Keyboards, Brass : Dashiel

収録作品
 DVD "Live at the Full House" (1987 Capitol Hanover)

 2014年現在、CDやレコードでは完全未発表で、ドイツでのTVライヴを収録したLive at Fullhouseでのみリリースされている。ディーがヴォーカルをとるナンバーで、同名のラヴ・アフェアーの曲とは無関係。スタジオ録音もないものと思われる。

 シンプルなエレピを中心にしたバッキングで歌われるあまり特徴の無いソウルバラード。この時期のツアーでは通常ディーはA Woman's Songを歌っており、この曲がどの程度の頻度でプレイされたかは不明だが、曲としてはいまひとつ完成度が低いように思われ、このとき実験的に試されただけかも知れない。

Move On Up

(Live Version)
Hon Councilers
Helen Turner : keybords
Camelle Hinds : bass
Steve Sidelnyc : percussions

収録作品
 12" Single "The Lodgers" (1985 Liverpool)
 album "In Concert" (1985 Wembley Arena)
 Video "Freedom Beat"

  85年ツアーでは定番だったカーティス・メイフィールドのカヴァー。ジャム時代後期のツアーでも定番化しており、その頃はホーンも入れて原曲に忠実なアレンジとなっていた。

 TSCではかなりアレンジを変更している。ポールのギター(リフの符割りも違う)だけで始まり、前半は白玉のオルガンと最小限のドラムが入るだけ。2コーラス目からはフルバンドでの演奏となり、原曲よりかなり激しく、テンポの速いヴァージョンになっている。3コーラス目はディーが歌う。後半にはパーカッションソロも。

 The Lodgersの12インチに収録されたのはリバプール(またはマンチェスター)のライヴとクレジットされているが、これもYou're the Best Thing同様メルボルンでの演奏と全く同じに聴こえる。特に2コーラス目の最初のヴォーカルの揺れが同じ・・・。

 In Concertにはウェンブリー・アリーナでのヴァージョンが収録された。ホーンが同行したライヴでもこの曲はホーン抜きでプレイされていることが解るヴァージョン。このCDではミックのピアノが目立つミックスになっている。

 他に公式にはFreedom Beatという反アパルトヘイトコンサートのビデオにこの曲が収録されている。

A Word from Our Leaders

(Live Version)
Hon Councilers
Camelle Hinds : bass
Steve Sidelnyc : percussions

 Nzri Beatと似たインスト曲だが、同曲と同じメンバー(ホワイト、ハインズ、シデルニク)によるインプロビゼイションにナレーションが載っている。これらの曲のタイトルには混乱があるようで、YouTubeやブートレッグでは混同されてクレジットされていることも多い。

Don't Do It Baby

(Live Version)
Hon Councilers
Vocals : Dee C. Lee
Tenor Saxophone : Billy Chapman
Trombone : Chris Lawrence
Trumpet : Stewart Prosser
Keyboards & Vocal : Helen Turner
Bass : Anthony Harty
Percussions : Steve Sidelnyk

 84年10月のミラノ公演で演奏された曲で、CBSからリリースされたディー最初のソロシングル曲。アルバムShrineには未収録。現在は同作のデラックス盤で聴ける。

 勿論TSCの曲としては現在に至るまで未発表。ポールが原曲にはないハーモニーを付け、後のLuckにも通じるようなシンプルなポップソングとして演奏している。

The Razor's Edge

(Live Version)
Hon Councilers
Vocals : Dee C. Lee
Tenor Saxophone : Billy Chapman
Trombone : Chris Lawrence
Trumpet : Stewart Prosser
Keyboards & Vocal : Helen Turner
Bass : Anthony Harty
Percussions : Steve Sidelnyk

 84年のテレビ出演時などに演奏されたDefunktのカヴァー。原曲は82年リリースなのでワリと早いタイミングでのカヴァーということになるか。

 Hanging Onto a Memoryにも似たファンクナンバーで、原曲より性急でパンキッシュなのはアレンジというよりホワイティとポールの癖みたいなものだろう。ヴォーカルがポールとディーのハーモニーになっているのも原曲との違いか。

 なお、この年同名の映画も公開されているが関係はないようだ。

Shop Around

(Live Version)
Hon Councilers
Vocals : Dee C. Lee
Keyboards & Vocal : Helen Turner
Bass : Anthony Harty
Percussions : Steve Sidelnyk

with Madness

 84年7月、リヴァプールのライヴでマッドネスとの共演で演奏された。スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズのカヴァー。具体的に誰が演奏に参加しているかは音源からは不明だが、Graham McPherson (Vo)は間違いなく、おそらくMike Barsonがオルガンを弾いていると思われる(明らかにミックのスタイルではない)。

 ステージでの一度だけの共演ということもあり、あまり凝ったアレンジはされていない。楽しげな演奏だ。

Stand

(Live Version)
Hon Councilers
Vocals : Dee C. Lee
Tenor Saxophone : Billy Chapman
Trombone : Chris Lawrence
Trumpet : Stewart Prosser
Keyboards & Vocal : Helen Turner
Bass : Anthony Harty
Percussions : Steve Sidelnyk

 言わずと知れたスライ&ファミリー・ストーンのカヴァー。84年7月のライヴで演奏された音源が聴けるが、原曲に忠実な演奏になっているが、One Nation Under a Groove同様ちょっと拙い感じだ。これがまあ、持ち味なんだろう。

 この時期のステージオンリーのカヴァー曲はどれもそうだが、メンバーの持ち回りで歌われていて、かなりミックが目立っている。

Hanging On To A Memory

(Live Version)
Hon Councilers
Vocals : Jayne Williamson
Tenor Saxophone : Billy Chapman
Trombone : Chris Lawrence
Trumpet : Stewart Prosser
Keyboards & Vocal : Helen Turner
Bass : Anthony Harty
Percussions : Steve Sidelnyk

収録作品
 CD "In Concert" (1984 Newcastle City Hall)

 83〜84年ツアーではアンコールで頻繁にプレイされていたチェアメン・オブ・ザ・ボードのカヴァー。テレビ出演の際にもよく演奏していたから、もしかしたらスタジオ録音の予定もあったかも知れない。

 かなり気に入ってプレイされていた様だが、残念ながらあまり出来のいい演奏を聴いたことが無い。In Concertには84年3月のニューカッスルでの音源が収録されており、他にブートレッグなどで数ヴァージョン聴けるが、どれもどこか中途半端感が漂う演奏。アレンジがそもそもキマっていないのかも。それでも5月頃のライヴではもう少しこなれたヴァージョンになってはいるのだけど。

 ジェインとポールの掛け合いが基本になっているが、84年後半のテレビ出演時にはディーを迎えたヴァージョンを披露している(ベースはまだハーティで、過渡期的なメンバー)。編成も例外的だが、演奏面でも後半の盛り上がりが激しくてかなり出来がいい部類に入ると思う。

Up For Grabs

(Live Version)
Hon Councilers
Vocals : Jayne Williamson
Tenor Saxophone : Billy Chapman
Trombone : Chris Lawrence
Trumpet : Stewart Prosser
Keyboards & Vocal : Helen Turner
Bass : Anthony Harty
Percussions : Steve Sidelnyk

収録作品
 CD "In Concert" (1984 London Dominion)
 DVD "Far East and Far Out" (1984 Nakano Sunplaza Hall)

 84年ツアーのアンコールでプレイされていたオリジナル未発表曲。スタジオヴァージョンは録音されたという説もあるが、現在の所未発表。

 なんとなくHere's One That Got Awayにも似ているが、メロディやアレンジも今ひとつ練り切れておらず、結局未発表に終わったのも解る気がする。ポールとミック&ジェインが交互に歌う構成はいかにも初期のスタイル。

 In Concertに収録されたのはロンドンでのライヴヴァージョンだが、何故かライヴビデオPost Modern(中野サンプラザ公演)に収録されたテイクに酷似している。ポールのヴォーカルの細部や、イントロでタイトルをボソッとコールするところ、エンディングの音量の絞り方やトランペットのフレーズ・・・。

 ちなみにそのPost Modernのビデオでは当時タイトルが解らなかったせいかMe Ship Came In!の後にノークレジットで収録されていて、観ている側としてはかなりの混乱をしたのが懐かしい。

One Nation Under A Groove

(Live Version)
Hon Councilers
Vocals : Jayne Williamson
Tenor Saxophone : Billy Chapman
Trombone : Chris Lawrence
Trumpet : Stewart Prosser
Keyboards & Vocal : Helen Turner
Bass : Anthony Harty
Percussions : Steve Sidelnyk

収録作品
 CD "In Concert" (1984 New Castle City Hall)

 84年ツアーまで、主にアンコールなどでプレイされていたファンカデリックのカヴァー。スタジオ録音はなく、公式盤ではIn Concertにニューカッスル公演のヴァージョンが収録。

 オリジナルの混沌を一切はぎ取り、かっちりと、コンパクトにまとめたヴァージョンに仕上げ、Dropping Bombs on the Whitehouseからホーンのフレーズを8ビートにアレンジして組み込んでいる。(このツアーではDropping~もやってるのでこのリフはライヴ中2回登場することになる)。

 しかしタイトルに反してグルーヴ感には乏しいヴァージョンになってしまっているのは、まあご愛嬌というところか。かなりアップテンポで、Strength of Your Natureにノリは似ている(というか、アレ自体がファンカ風を狙った曲なのだけど)。ヴォーカルパートはミック&ジェインから始まってポールが加わる。全体には結構ミックが目立っている感じなのが珍しい。


 

Meeting (Over) Up Yonder

(Live Version)
Hon Councilers
Vocals : Jayne Williamson
Tenor Saxophone : Billy Chapman
Trombone : Chris Lawrence
Trumpet : Stewart Prosser
Keyboards & Vocal : Helen Turner
Bass : Anthony Harty
Percussions : Steve Sidelnyk

収録作品
 CD "In Concert" (1984 New Castle City Hall)

 84年ツアーでオープニングを飾ることが多かったインプレッションズのカヴァー。In Concertで公式盤としては初登場となった。ライヴオンリーの曲で、スタジオ録音はない。

 ここにはニューカッスル公演のテイクが収録されているが、ブートレッグで聴ける他の会場でもほとんど同じ演奏をしている。かなりかっちりとアレンジが出来上がっていたのだろう。まあ、アドリブを入れる余地も無い感じではあるが。

 オープニングに相応しく、初っぱなから勢いを感じさせるサウンドになっている。ヴォーカルもポールを中心にミックとジェインが全体でバックをつけ、ホーンも鳴り響く。カーティスのカヴァーというのも「TSCってのはこういうバンドですよ」と言うコンセプトを見せるのには良い感じだ。初期のステージで「名刺」として使われたのにはそう言う意味があるのかも知れない。